これからの政治活動の組織形態 その1

目次

これからの政治活動の組織形態 その1 トップダウン式の欠点

これからの政治活動の組織形態 その2 グループを中心にした組織形態

これからの政治活動の組織形態 その3 グループ間の関係

これからの政治活動の組織形態 その4 今後の活動

本文

政治活動を行う際、何らかの協力関係を作る必要があるが、トップダウンな組織を形成するのは誤りである

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上記はトップダウン式組織の概略図である。左は企業 右は民主党を例に取っている。お互いに組織としては一見纏まっているが、企業のみ末端に金銭的利益を提供できる。政治団体の場合は末端に金銭を提供できず、それゆえ組織の維持には構成員の気分で左右される。

上記を踏まえて構造的欠陥を上げていく

  1. 末端の党員同士は互いに孤立している
  2. 上層部が組織全体の指針を決めるため、構造的に権力闘争が起きる
  3. 誰もが納得するトップを用意するのは非常に困難。
  4. 末端が金銭的利益を得られないにも関わらず上下関係がある。新規加入が期待出来ない。
  5. 組織工作が非常に容易。少数の上層部を陥落させれば組織全体を骨抜きに出来る。

これらの問題は重大で、特に民主党政権においては5の点が致命的になった。野田元首相のように財界官僚寄りの人間がトップになった結果、民主党全体が財界官僚寄りとなり、有権者に不利益な法案を通し、結果として民主党は壊滅した。

今後作る政治団体は、これらの問題をクリアーするため、抜本的に組織という物を考えなおす必要がある。私が考えるそれは、自然発生的(例えば学校で生徒同士が自然に作るような)な組織を基本にした物である。

その2に続く

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生活保護問題で見えてくるコミュニティ形成の阻害要因

8月1日より、生活保護支給の一斉引き下げが始まった。政治的な力学で言えば、それに対抗するアクションが受給者の側から起きるはずである。しかし、現実はそうなってはいない。

アクションが起きない原因は、受給者が互いに孤立している事にあると見る。行動を起こすには人数がいる。また組織的な統制も取れている必要がある。しかし、現状を見ると孤独死に代表されるように生活保護者は互いに孤立しており、組織的にアクションを取れる体制が整っていないように思える。

上記の話は生活保護に限った話ではない。失業、非正規、過労、ニート、その他諸々の社会的圧力に対し、本来起こるべき行動が起きておらず、組織的に行動出来る状況にも見えない。

利害を同じくする物同士の組織形成を阻害する要因は何であろうか?組織形成を阻害する要因として伝統的な要因として

  • リスクを負いたがるリーダー格がいない
  • 逆に内部で利害が対立する
  • そもそもお互いのコミュニケーションが無い

現状を見ると、どれも当てはまるように思える。特に最後のが問題である。会話が無ければ関係は成立しない。

POSSEのように、生活保護者に一部支援を行うNPOや団体も存在する。しかし、残念ながらその多くは(特に共産系の組織は)伝統的な縦社会を形成しており、横のコミュニティの育成には繋がりにくい。活動の意思決定権に肝心の受給者が関わる事が出来ない 何故なら自分達は受給者より上の立場だから。そのような態度を嫌い組織を利用しない人間も多く、結果として活動の規模が伸びず影響力も限定される。そもそも思想を主体とした人間関係は利害調整が出来ず破綻するのが歴史の教訓である。

生活保護への圧力に対して対抗する為には

  • 受給者こそが意思決定の主体である事
  • 受給者同士が横の繋がりを持ち、長期に渡り負担を分担しながら活動出来る
  • あくまで思想ではなく共通の利益を重視する。はっきり言えば正義より金である。

といった要件が必要だと考える。

このような組織を作るプロセスとして、まず生活受給者と直接会話し、受給者同士が気軽に会話出来る体制を整えなければならない。

残念ながら、ネットでは生活保護受給者の生の声が聞きにくい。もし生の声を聞く方法があれば、是非教えていただきたい。

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建設的かつ発展的な議論形成に必要な事1

コミュニティツールの発展に伴い、人々が互いに繋がる事が増えてきた。しかし、政治面においては、期待されていたような官僚機構に対抗出来る情報共同体への発展が一向に期待できない。むしろより一層分化されつつさえある。

その大きな要因として、そもそも主義主張が異なる人間同士が同じ結論に達する事は無い。よって、ネットでの議論は持論の押し付け合いに留まり、議論が進まないといった事が繰り返される。

ここでは、最終的な結論が決して交わる事の無い人間同士が継続的に建設的な議論を行いコミュニティを形成していく為の手法を考える。

結論の相違が何故起きるのか まずその要因を考える。

  1. 政治問題は利害の問題である。誰かの利益になる政策は他の誰かにとって不利益となる。ゆえに主体者を誰に置くかで結論は180度異なる
  2. 前提条件が異なる。火をつければろうそくが燃える という話も、それが水中であれば誤りとなる。
  3. 結論を導く為に使う仮定が異なる。やかんに火を掛けて10分後沸騰するか?という問も、その間に誰も火を消さないか 誰かが火を消すか の仮定により結論が分岐する。
  4. 科学的見地としての三原則 定量的客観的論理的 が守られてない。これが守られなければ信頼ある議論とはならない。
  5. 利用するデータが異なる。これは結論が分かれれば、どのデータを使うかという面で3の仮定に含む方がいいだろう。

 以上の要素により科学的見地を守りつつ、 

  1. 主体者が誰であるか
  2. 前提条件が何か
  3. 結論の為にどの仮定やデータを選択するか

を明確にすれば、議論は一定の方向へと収束すると思える。

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一票の価値(2013/7/21 参議院選挙)

一票を大事にしましょう とよく聞きますが、一票を金銭に直すとどの程度の価値になるのか考えてみました。

結論からすれば、今回の参議院選挙における一票の価値は 230万円以上 に相当します。

捨てている人もったいない><  

230万円は自分に最も配当を渡してくれる候補者に投資しましょう。

 

以下評価方法と計算

考え方

  • 政治に関わる全ての票を集めれば、国の予算(特別会計含め実質年230兆円)を自由に使える。言い返れば、投票権全体の権利は年間230兆円に相当する
  • 日本は二院制で、衆議院の権利は参議院より強い。採決に関わる権利の問題から、参議院全体の価値は衆議院の半数に相当すると考える。つまり参議院の価値は政治全体の1/3である。
  • 参議院の改選は半数づつで任期が6年である。
  • 日本の有権者数はおよそ1億人である

以上の考え方から、次の計算式が導かれます

(年間予算 × 任期 × 参議院の価値 × 今回の改選割合)  ÷ 有権者数

= (230兆円 × 6年 × 1/3 × 1/2) ÷ 一億人

= 一票あたり230万円

これはさらに棄権した人が増えるほど投票した人の価値が跳ね上がります。

棄権が半数なら価値が倍で一票当たり 460万円!!!

これだけの資産を無駄にしていいはずがありません。自分の財布を守る候補者にきちんと投資しましょう。

 

PS 今回の計算は大雑把で考慮していない要素がたくさんありますが、大体の目安にはなると思います。意見や異論があればどんどんお寄せ下さい。

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最低賃金補填制度の設立を

最低賃金、生活保護との逆転残る 引き上げ幅7円に“ の記事に関連して

まず現在の状況を整理してみましょう(最低時給はフルタイム年収300万想定)

  1. 労働者人口の1/3が非正規雇用
  2. 少子高齢化確定を回避する為、即時の最低時給1200円が必要 ※1
  3. 中小企業に十分な賃金を払う余力が無い
  4. 大企業には十分な負担能力がある (競争力低下は円安で調整される)
  5. 国の財政は極めて健全 (国債は自己資本扱い ※2)

状況を整理すればやるべき事は簡単かつ明確です。

  1. 最低賃金を時給1200円に設定し、一気に法制化する(労働者の最低賃金)
  2. 企業向けに、必ず支払うべき最低賃金を設定する(企業の最低賃金)
  3. 労働者と企業向けの差額分を、会計的に余裕が無い企業に限定して国が補填する


即効性の問題から労働者向けの最低時給は即座に保障し、企業の事情から企業向けの最低賃金は段階的に引き上げ、差額分を国が補填しましょう という形です。また、大企業の財テクには利用されないように、いくつか制度を整える必要はあります。

この制度は、生活保護の前段階の位置付けにもなります。完全に無職無資産になって国に依存されるより、働きながら差額分を補填した方が効率はいいのでは無いでしょうか?

※1 統計的に35歳未婚で95%以上が生涯独身

「生涯未婚」どんどん増える 男性は2割突破

※2 国債と通貨の発行は、国の無形資産である通貨発行権に依存する

政府紙幣案-通貨発行権の形式株化

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制約と誓約としての党議拘束

国民の生活が第一党の党規が出来ました。注目すべき主な点は

  • 党員資格を日本人の有権者に限定している(外国人参政権への懸念の排除)
  • 1/3相当の議員の発議で党大会を行える
  • 党議拘束を排除する
  • 個人献金を重視し、企業献金を排除する

と言った点だと考えます。取り分け、党議拘束の排除が特に目に付き、ここでは党議拘束に関して所感を書きたいと思います。

1 党議拘束のデメリット

現在の民主党を見れば言うまでもありません。一部の執行部を買収するだけで、所属議員全てを支配出来てしまう脆弱性です。ましてや選挙公約に反する内容を党議拘束で強制するなど民主主義の根底に関わる問題となります。

2 党議拘束のメリット

正しく機能すれば、政権公約に信頼性を持たせる事が出来ます。特に比例区の場合、有権者は党としての公約に投票する為、党議拘束が無いと別の意味で民意が阻害されます。

3 各国の状況

先進国の中では、イギリスが政権公約に沿う形で党議拘束を行っております。アメリカ等それ以外の先進国では、原則党議拘束がありません。

4 より民意を反映させる形は無いか?

民主党の反省を省みれば、党議拘束に置ける執行部の恣意性は排除されるべきです。しかし党議拘束が無ければ、政権公約の信頼性が損なわれかねません。そこで、有権者との契約を守る為の枷として、党議拘束を利用する事が考えられます。

5 制約と誓約としての党議拘束

党議拘束において、以下のルールを課します

  • 公認選出において、候補者は自ら自己や党の公約の一部を誓約してもいい
  • 誓約された公約は、次の任期中は候補者個人の党議拘束対象となる
  • 誓約を破れば、政党は誓約の強さや影響力に応じた罰を与える
  • 公認候補は、候補者の誓約を考慮に入れた上で選出する
  • 選挙では、各候補者の誓約内容と誓約の強さを公開する

候補者は有権者と自らの意思で契約し、契約違反に対しては執行部がペナルティを与えるという形です。この形なら、執行部の恣意性により民意が阻害されず、有権者に公約に対する信頼を得る事が出来るのではないでしょうか?

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政府紙幣案-通貨発行権の形式株化

政府紙幣と国債の違い で記載した政府紙幣発行案では、政府会計における二つの通貨の評価の難しさという問題を孕んでいた。また財務省政策研究所でも、 政府紙幣発行の財政金融上の位置づけ-実務的観点からの考察- という名目で同様の問題が指摘されている。ここでは、別のアプローチで政府紙幣を発行する事を考えてみる。

政府紙幣の定義

  • 企業 家計 政府会計に置いて、日銀券と全く同様に扱う
  • 政府紙幣を発行する際、
  1. 政府の自己資本に政府紙幣発行益を加える。これは無形資本である。
  2. 日銀資産に政府紙幣発行益を、負債に政府紙幣を加える
  3. 政府の流動資産の現金・預金に、発行した政府紙幣と同額の値を加算する
  • 日銀に国債償却する際は、日銀負債の現金・預金と日銀資産の国債を減らす。

政府紙幣発行益を政府の自己株式と同等に扱い、日銀を形式上の出資者として扱う方法である。形式的に、政府紙幣の発行者が日銀となる。

1 国債引受との差異

 通貨供給という側面では、貨幣の一元性含めて日銀国債引受と全く差異が無い。
国債発行と比較した場合、政府は株式に支払い義務を持たず、日銀は市場に放出する事も出来ない。また、日銀は形式上の出資者である為、如何なる請求権も持たない。

2 会計上の違い

 企業家計にとっては、マネーサプライが増えるだけなので会計上は全く差異が無い。
日銀内部においては、時間が経つにつれ資産の国債政府紙幣発行益に、負債の現金政府紙幣に置き換わっていく。
政府においては、負債である国債が資本である政府紙幣発行益に置き換わっていく。その為、形式上の財務健全性が向上し続ける事になる。それ以外の点に会計上の差異は無い。

3 国民の行動

 他の政府紙幣案同様、将来の増税や財政緊縮の恐れが無いため、国債引受以上にインフレ傾向が強くなる。

4 政府紙幣と国債の違いで示した手法との差異

 政府企業家計に置いて加算されるお金が事実上の日銀券となる為、貨幣評価の一元性が保たれる。反面、政府紙幣でありながら形式上の通貨発行を日銀が行う為、多少本末転倒な気もしないでもない。

5 考察

 政府紙幣の必要性その他は、政府紙幣と国債の違い と同様である。
政府紙幣は国債発行と比較した場合、無条件に形式上の財政健全化が行われ、より高いインフレ期待が起きる。同時に中央銀行の役割が縮小され、インフレリスクと政府の金融政策力に国内外から関心が集まる。

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政府紙幣と国債引受の違い

ツイッターで政府紙幣の話題が出たのでそれに関連して所感を

政府紙幣の定義

政府紙幣は新しく法令で運用を決めるため、その定義は現時点では存在しない。ここでは以下の定義の下、政府紙幣を発行すると仮定する。

  • 民間では日銀券と全く同等に扱う。絵柄、決算・国債の償却等に関しても同様
  • 政府紙幣を発行した場合、政府の自己資本に政府紙幣発行益を加算し、流動資産に政府紙幣を加算する
  • 便宜上、政府紙幣損益を流動資産に記載する。政府紙幣損益は、財政出動などによって起きる政府紙幣の損益を記載する為の物である。
  • 日銀に政府紙幣で国債を償却した場合、日銀券で償却した物として扱う。

この為、日銀が持つ国債を、新たに発行した政府紙幣で償却した場合

  • 政府紙幣発行益 と 政府紙幣 は増加
  • 国債 と 日銀券 は減少

となる。

1 政府紙幣と日銀国債引受はやっている事自体には大きな差異が無い

政府紙幣も、日銀国債引受も、その本質は通貨発行権によって紙幣を供給する という意味において大差は無い。

2 会計面では運用に差異が出る

企業や家計においては、会計において差異が出ない。政府紙幣も日銀券も、共に流動資産 現金・預金 として扱われる為である。

政府においては新しく自己資本に、政府紙幣発行益という分類が加わる。これは国債が他者資本(負債)に対して、通貨発行益は自己資本に分類される為、バランスシート等の面では変化がある。

中央銀行は、会計規模がどんどん縮小して行く事になる。中央銀行の資産である 国債は政府紙幣発行益に置き換わっていき、負債である日銀券は政府紙幣に置き換わる為である。

3 国民が起こす実際の行動は大きく差が出る

やっている事に大差が無いにも関わらず、その効果には大きな隔たりが生まれる。その原因は国民の意識にある。

国債もまた本質的には政府による通貨発行権に依存する以上、本来であれば返済する必要は無い。しかし、国債は会計上は政府の負債として扱われる上、国民感情として借金は返さないといけないという思いが根強い。

政府紙幣は、政府の自己資本に政府紙幣発行益を加える。誰がどう見ても未来永劫返す必要も、その気も全く無い分類になる。

この対立する二つの感情は、将来への増税 財政緊縮の予想とそれに合わせた消費行動となって現れる。国債が増えれば将来の増税を予想して消費を控えるが、政府紙幣発行益が増えれば将来のインフレを予想して消費を増やす方向に繋がる。

4 二次的三次的な効果に注視と対策が必要

消費行動に関しては以上の通りだが、それ以外にも様々な影響が出る。

  • 将来的に国債が消滅する為、中央銀行とそれが出来る職務が消滅する
  • 金融機関の国債を利用したビジネスモデルが崩壊し、銀行は貸出を増やす
  • 海外投資家によって、厳しくインフレリスクが監視される事になる
  • インフレは実質所得を減らす為、特に年金層に対して保証が必要になる

これらはよりインフレを加速させる要因となる。とりわけ売りオペによる通貨量調整が出来なくなるため、それに変わる通貨量調整制度が必要不可欠となる。

また、政府会計における政府紙幣損益の扱いが難しい。日銀と違い、政府は価値が変動する土地建物等の資産を大量に保有し、買い入れも行う。変動が起こる度に評価しなおさなければならず、再評価の際、日銀券と政府紙幣の二つの価値をどう考えるかという問題にも直面する。方法論を誤れば、日本政府は客観的な評価が出来ないとして扱われる事になる。

5 政府紙幣は必要か?

個人的な意見を言わせて貰えば、4のようなリスクを考えた上でもなお政府紙幣は必要不可欠だと考える。

デフレの20年は氷河期世代に失われた時間と機会を強い、このまま行けば30年後には 数千万人もの独居老人を僅かな若年層で支えなければならなくなる。これは今の高齢化社会とは比較にならない破滅的な問題である。 多少なりとも緩和する為には、明確で即効性があるインフレ路線と雇用政策で機会を増やす必要がある。

また、国債を利用した金融機関のビジネスモデルも見逃せない問題である。国債を買うだけで、銀行本来の役割を果たさず利益を出し、利益の為に消費税を筆頭とした増税がなされるというのは、国民にとって不利益甚だしい。

さらに、通貨発行権が国民が支持する政府に由来するという事を明確に出来る事も民主主義として重要である。通貨発行権と民意が切り離された状態は、いかなる民主主義の論理でも肯定されない。

政府紙幣は必要で効果的であり、かつ劇薬でもある。新しい政権には、この劇薬を上手く利用して、真の自由民主主義を築いていただきたいと願う。

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